デッサン・絵画の授業では、
生徒の皆さん一人一人のステップアップを考慮しながら、図解や説明によって分かりやすく指導していきます。
アナログの技術を明解で的確なアドバイスによって、より効果的な伝達方法、指導方法を求められていると感じています。年齢、経験問わず、どんな方でも受講できます。初心者の方も道具、画材の扱いから指導いたします。
お気軽にお問い合わせください。
通信講座におきましても、同様の内容となるよう指導しております。お気軽にお問い合わせください。
デッサン・絵画の授業内容いろいろ
鳥にはふさふさと羽がついていますが、領線を探します。
どの辺りで、面が変わり、明度がどのように変化しているかを
探っていきますが、目を少し細めて視界をぼかしてみるとその境界線が見えてきます。動植物は愛情を込めて描きますが、生物も立体物、構造物であることには変わりありません。
正中線や領線を見極めていきます。
構造的な見方も一つ一つ丁寧に指導しています。
描き方よりも見方に問題がある場合が多いです。
一つの問題を解決できると段々と芋づる式に、多くのことが観えてきます。
明度と配色と色相環の関係
瓶を描く
混合テンペラ
「混合テンペラの行程 1 〜 14」
以前、作った制作行程資料を使っての通信授業です。
絵画がどのように出来上がっていくのか?という疑問は、必ずあります。そして、絵画の種類によってもそのやり方は、全然違ったりもします。作家さんそれぞれのスタイルによって様々です。
ここにあげたのは、写実絵画のごく古典的な進め方です。デッサンから立ち上げて、それを元に少しずつ色味を加え、徐々に立体感、空間感を出していきます。
初めての場合、行程4〜6までが、完成作品を見ただけでは、想像もつかない作業なのかもしれません。
対象となるモチーフも、実物の時もあれば、写真という場合もあります。事物を観てを誇張する表現もあれば、写真の撮影の仕方からこだわり、それを精巧に模写するという場合もあります。一言に写実絵画と言っても、様々な表現方法があります。しかし、その共通点として、デッサン(観察)が元になっていることは言うまでもありません。そこから、何をどう描くか?考えることを始めます。
手のデッサン 稜線と明度差 手前と奥(距離感と描きこみの度合い) 美大受験コースより
稜線と明度差について
稜線はどこなのか?観察から、自分で判断することが鍵になります。 それとともに光の方向を意識しながら、明度を予測して描くことがポイントです。 あるいは、照明を当てて稜線と明度差を発見することも大事です。
手前と奥 距離感と細部の描きこみの度合い
絵には、手前と奥が必ず存在します。当たり前ですが。 手前はピントを合わせるようにすると、前に出てきます。 その為に、細部をより詳しくはっきり描くことで効果がでます。 観察力と根気のいる作業です。
グーのデッサン グーのポーズは、手自体が、塊になるので手を立体として捉えるためのポーズとしては最適です。手も面で捉えられ、パースが関わる構造体だということを意識して描きます。
稜線と明度
中学生の生徒さんとの通信授業です。「ゴジラのデッサン」
青いラインが、稜線と言います。これは、モチーフを面で大雑把に分解したときにできる面と面の境目にあたります。
その稜線を境に、明るさ、暗さの変化が起きています。 稜線がどこなのか?これは完全な正解はなく、観察したり、触ったりしながら自分で見極めます。
この中学生の生徒さんは、とても熱心な生徒さんです。稜線と明度の関係は中学生には少し難しかったかもしれません。
ほとんど毎日家でも描いているようですので、やっているうちに、わかった!という時が必ずきます。多分すぐ来ます。
こちらもコジラのデッサンを描いた中学生のデッサンです。
稜線、明度差の関係を説明しました。
その後、様々なモチーフを描き、トレーニングを経て同じ生徒さんが描いた手のデッサンです。
観察する力とともに、面や稜線を把握する力もついて
より立体的になってきました。
明度差、調子の幅
立方体や直方体などを想定で描く課題です。
光の方向と3面の明度差を意識して描きます。
その際、自分の判断で明度の度合いを決めて
3面それぞれの明るさ暗さを描いていきます。
3面の明度が似ていると、鈍く見えたり、全体的に薄い印象になり、立体感、空間感がそこなわれます。
さらに、影にもその箇所によって明度差がでます。これも全て似たような明度になると、透過性のある影ではなくなってしまいます。
右図グラデーションを実際は10段階以上でつくってみると沢山の調子がつれることがわかります。
静物デッサンは、接地で決まる
静物デッサンは、必ずモチーフが置かれる台があります。
モチーフが台と接する接点、接地が大事です。接地を侮ると、距離感空間感の乏しいデッサンになります。
モチーフ同士の接点も同様に大切です。
関係性をしっかりつくる。
このモチーフセットは、接地、接点をテーマにしています。
手のデッサン 手にも明度差がある
明度差の捉え方
手の明度差を捉えるには、箱に例えて観察すると分かりやすくなります。稜線の位置も見極めやすくなります。
そして、もう一つは正中線。物の真ん中になる線です。
顔を描く時に、正中線を探すとバランスをとりやすいです。正中線から手前が大きく、奥が小さく見えます。要するに人物や、自然物にもパースが働くということです。
「明度差の判断」と「描き分け」はメリハリにつながる。クリアーなデッサンにつながる。
花のデッサンを提出して頂いた生徒さんからの質問です。
●苦手なことは、トーンの差を出すことです。
いつも全体的に色味が似たデッサンになってしまう。
●描いている対象に対してどれくらいの暗さや明るさの差を出せばいいのか?
●メリハリが効いたデッサンが描けるようになりたい。
1.「トーンの差」=明暗の差、固有色の差になります。 この「差」コントラストを描くわけですが、「差」の度合いを観察して判断する、決定すること「明度差の判断」自体が大切なポイントです。
2.それでも、微妙すぎてその「差」がよく分からないことがあると思います。「迷い」が生じるわけです。 迷いが生じた時に、どう判断するか?が鍵となります。
迷うということは、自分にはまだ観察力デッサン力が足らず、見えていないのだという考えに陥り、深遠な難問 として捉えてしまうかもしれません。
しかし、迷う箇所があるのはキャリアによらず当然あることです。
そこで、深遠な難問と捉えるのではなく、 稜線を境に
「A 面が明るく B 面が暗い」または、「A 面が暗く B 面が明るい」の2択でしかないのだと切り替え、 その中から自ら「選ぶ」とういうことが鍵となります。
2択のどちらが正解なのだろう?自分にはまだ見えない答えがあるに違いない。
ということではなく、 その場で自分が判断し決定することが大事なのです。
正解は、自分がどちらかに判断し決定すること。
不正解は、どっち付かずで決定せず濁してしまうこと。 =「色味が似ている」ということになります。
(もしも2択の選択が間違ったなと思えば残った方で修正すれば 良いのです。)
どちらかに決定したら、実際よりも大げさに明度差(コントラスト)をつけ、徐々に自然に整えていきます。
3.もう一つは、「描き分ける」ということが大きなポイントとなります。 例えば、2枚の花びらが重なった場合、それぞれの色の差、明暗差が表現できていても、2枚の花びらが接触した 箇所があいまいに描かれていると鈍く見えてしまいます。各々の花びらが同化し、溶け込んで見えてしまうのです。
その状態が絵の中に複数箇所あると、全体的に鈍くピンぼけしたような感じになります。
色味が似て、全体的になんとなく薄く感じ、メリハリが弱く見えるということにもつながります。メリハリの効いたクリアなデッサンにする為には、「描き分け」が要になります。
生徒さんのデッサンを元に講師がスケッチして図解させて頂きました。
風景画とパース
こちらは、一般絵画クラスの生徒さんです。教室から見える何気ない風景を
描いています。初めての試みですが、とても素直によく描けていると思いました。このデッサンを元に油絵制作を現在進行中です。
パースについて少しだけ気になるところがありましたので指導させていただきました。
巨大な建物や広大な風景を一枚の画用紙におさめるには、理論的にパースを理解しておく必要があります。感覚に頼りすぎると、ふとしたところで勘違いして描いていることがあるからです。
要点を言うと、風景、建物などを描く際は、目線の高さがどの辺りなのかを特に意識しておくことが大切です。
各モチーフの消失点は全て目線の高さのライン上にあるからです。例えば、建物の窓がいくつかありますが、各々が目線の高さより上にあるのか、下にあるのか?
これが分かるだけでパースの狂いが解決できます。
画像では、ブルーの線が凡その目線の高さです。
油彩は、このようになりました。
台と影について
モチーフを描く際に、見落としがちなのが、台。
台の水平感を表現できなければ、モチーフ自体の存在感が薄れてしまいます。台は縁の下の力持ち。かなり重要なのです。
台の上に落ちたモチーフの影と共に台を描く癖をつけると良いです。影には2種類あり、接地の影と周辺の影。
この2種の影を最初から描きます。
鉛筆のタッチはなるべく水平方向に、机の上を雑巾がけしているような感じです。
楕円パースについて
缶や瓶、コップなど、円柱、円筒形のモチーフを描くと、楕円が必ず
ついてきます。楕円形をある程度正確に描けると、立体感に直接つながるので、作図法は知って損はありません。「見て描けば良いのだ、作図法などいらぬ」なんてことを大昔に言われたこともありますが、モチーフを観察し、構造的に把握することは大切なことです。
作図法を理解して何回も描いて体で覚えることで感覚にしみてきます。
発見し理解して描くことが「観て描く」ということです。ただ単に「見て描く」ということとは違うのです。
自宅で描いたピーマンのデッサンを提出してもらいました。
丁寧に観て描いているデッサンです。明暗差、光の方向を意識して描くようにアドバイスしました。
加筆して指導説明させていただきました。分かりやすくするために明暗差を多少誇張して描き加えています。
描き始めの時に光がどこからどのようにあたっているのか?
光の方向によってピーマンのどこから暗くなっているのか?など実際は図解も添えて丁寧な指導説明を心がけています。 良く観て描きながら、何がどうなっているのか?を考え、判断しながら描くことが大切。むしろそこが面白い。この生徒さんは某美術大学に合格しました。
ポイントとなるヒントを投げかけ、生徒さんにも自分で観て考えて判断しながら描ける技が身につくように指導していきます。
中学生 生徒さんの授業例
イラスト、アニメを描く際に一番多く相談される事項が、遠近法や構造把握の問題になります。
線や表情はうまく描けるが、なんとなく立体感が乏しかったり、歪んだり、ねじれたり、不自然になってしまうという相談をよく受けます。
そもそもアニメーションは、あるキャラクターをリアルに動くようにするわけですが、自然な動きを表現するために、物の構造把握ができていなくては、クオリティーの高い作画はできないとのです。デッサン力が要となるのは当然です。
中学生の生徒さんはとても上手にイラストを描きます。序盤は、少し形にくるいが出ますが最終的にしっかりとした形に仕上がります。序盤の形のくるいについては、やはり、パース(遠近感)と頭部の構造について少し図解をしてアドバイスしました。その後は、スムーズに仕事がはかどったようです。
デッサンと油彩について質問回答例
講師作品の油彩行程を元に、デッサンと油彩のつながりについて指導説明させて頂きました。生徒さんは某美術系大学の学生さんです。
なぜデッサンを予めやるのか?カラーの世界をわざわざ白黒で描くのはなぜか?
私達が視覚に頼った日常生活を送っているからこそ抱く疑問なのでしょう。
光があるおかげで物が見えます。明るい部分暗い部分があるから全ての物が立体的に見えます。形、色、明暗など視界に入った情報全てを光が眼に届けます。
本来形がなく触ることもできない光によって眼に届いたある意味曖昧な情報の全てを一気に描き写すのは簡単ではないのです。
ですから、まずは明暗、陰影のみに絞って捉えましょう。
良く観察しながらも時々眼を細め、少し視界をぼかした状態で観ます。
すると明暗の関係が明確になります。これを頼りにデッサンし、明暗とのバランスをはかりながら少しずつ色を加えていきます。すると色にも当然明るいと暗いの関係があるのが分かります。
眼を細めて描く。ここまでは、やってみると問題なく色と明暗の関係が飲み込めると思います。さらに、立体把握、構造把握が絡んでくると複雑になります。
模写は写真資料等の印刷物など既に出来上がった色や形を平面から平面に精巧にそのまま写す作業ですが、デッサンから立ち上げる絵画制作は、まさにゼロからものをつくる作業です。
立体物としての実体を「観る力」のみで平面上に再現します。その分構造的な部分での発見や気づきが多くなります。
ですからデッサン力が上がると、写真模写を含めた絵画制作のクオリティが上がります。
構造に対する立体的な把握がしっかり出来てくるからです。そこに明暗、色、質感のすべてが繋がっていくのです。
以上授業内容を大雑把にまとめましたが、講師作品の作業工程資料を参考にしながらさらに詳しく説明しています。
デッサン作品に限らず、制作上での素朴な疑問にお応えしながら、生徒さんの発見と学びに力添えができればと思ってお
キャラクターのデフォルメどこまでやってよいのか?
リアル系のキャラクター、マンガ系のキャラクターとありますが、どちらも図のように比率をきちんと決めることがポイントになると思います。その元になるのが、本物の人体の構造や比率、配置です。
既存のリアルな人物をどうのようにデフォルメしたら理想のキャラクターになるのか?をよく吟味する必要があると思います。自由きままにデフォルメして適当に目鼻口を配置してしまうと不自然な印象になってしまいます。不自然な印象を受けないように、現実をどこまでアレンジして良いのか?正中線、水平線等の補助線を使って、理想のキャラクターをつくる為のデザインのルール、骨格を決める。そこにクリエイティブを感じることが重要なのではないでしょうか。