推薦入試と勉強

美大推薦入試は、作品自体や自分の考えていることをいかに具体化して掘り下げるかが鍵となります。志望動機、自己推薦書、面接、プレゼンテーション等の説得力につながります。
美大は最初から専門的なことを学ぶ専攻に分かれていますが、志望している専攻についてきちんと理解できているか?そこへ入学する将来の自分のヴィジョンは見えているか。が問われます。

プレゼンテーションでは、アイデアを可視化し、言語化します。
見える形にして、相手に分かりやすく伝えるために、とにかく書く、描く。知らないこと不確かなことは調べ、根拠を探します。
徹底して具体的に掘り下げる。そこで初めて相手につたわります。

ですので、ポートフォリオとなる作品制作については、
例えば、絵本などの物語を考える際も、まずは書く、具体的に書く、削る。物語の組み立てと絵、各シーンをどう見せるかをいくつかパターンをつくり、精査する。
描くばかりでは無く、考え、整理し、組み立てていきます。
デザイン全般は、世の中、日常生活での問題点を再発見し、その解決策をどのような形で提案するか?
グラフィック系平面作品や工業デザイン系の立体作品は、あくまで、可視化された「結果」。そこまでのプロセスや考え方を整理して理論的に裏付ける為に再度リサーチし、根拠を見つけ、言語化し、提案する相手に伝えます。
相手に分かりやすく説明するために徹底的に掘り下げていくと、逆に可視化された「結果」に甘さが見つかることもあります。

このような経験を受験生だけではなく高2生も少しずつ積んでいます。身近なところからコツコツと問題を発見したり、リサーチしたり、文にまとめたり、問いを投げかけたり、こんな感じの授業です。みなさん頑張っています。

心底、美術、デザインの仕事をしたい、知りたい、という方は、地道な内容の授業にもついてこられると思いますし、学び、気づき、自ら結果を出せると思います。

 

そうではなく、学科試験のある一般入試は避けたい、勉強が苦手、楽したい。このような理由で推薦入試を選ぶ方も実際いらっしゃいます。よく考えみましょう。勉強をしたくない自分を推薦して、それを受け入れたい大学は存在するでしょうか?そもそも大学は、やりたいこと、その専攻で勉強するために自ら動き、利用する場所であって、とりあえず合格通知を得たから、ひとまず休憩して、遊びに行くところではないのです。

どこか甘い考えのある方は、面倒くさいようで、ストレスが溜まり、すぐに投げてしまう傾向があります。

だから、あと一歩のところで、掘り下げられない。これでは学びにつながりません。

 

勉強は、当然大変なこともあります。でも本当に好きなことの為なら、潔く立ち向かえるものです。

勉強=苦手、英語。。。。この呪縛から逃れられないのでしょう。でもしかし、勉強は色々な形があります。興味あること、好きなことについてもっと専門的に知りたい、調べてみよう。これも勉強です。

その楽しさに気づけてる人は、少々辛いことでも乗り越えられると思います。苦手を克服できると思います。

 

ただその場を凌ぎたい、楽に肩書きを得たい、とりあえず推薦入試、これが一番損してしまう事例です。

 

推薦入試だからといって、勉強からは逃れられません。推薦入試は、自分自身を徹底的に掘り下げながら、その先にある社会勉強をしているようなものです。本気でやったら、高校生にとっては、とても骨のある作業なのです。

この経験を経て、自分らしい目的を探して、自分らしい勉強の仕方に気づければ、将来、そこを切り口にして様々なジャンルに派生し、視野が広がっていくと思います。