デッサンは基本的には、そのまま、よく観て根気よく描くのですが、
対象物を観察して理解することに興味が出てくると、全体を構造的に見通せるようになっていきます。
当たり前のように存在する日常のものごとを、一度分解したり、繋がりを探ってみたり、比較してみたりと対象物を理解するために、見方を工夫していきます。
そうすると、以前よりも分かる、描ける、というような感覚になります。観察しながら、同時に物の中身を把握して描くことができるのです。
例えば、愛用しているコップや大好きなペットなどを描くと、いつもよりすらすらと描けることがあります。好きな物、身近なものは日常でよく観ている為、知らず知らずのうちに対象物を理解していることになるからです。その為、頭の中で想像しやすいわけです。
眼で観て、手で描きながら、頭の中では構造的なイメージをしているのです。ただただぼーっと見ているのとは違いますね。
うちの犬はこんな目をしていたな、左耳はこんな角度で、右耳は・・・。背中の模様はこうなっていたな、など細部や裏側のことまで思い出すことができます。
デッサンする際は、この行程を制作中に踏んでいきます。頭の中でイメージしやすいように、対象をよく観察します。触ってみます。持ってみます。さまざまな方向から観察します。見えない裏側も把握します。スケッチします。
上手な絵を見た時に、「どうやって描いているんだろう?」と考えがちですが、それよりも「どう観ているのだろう?」と作者の見方に関心を寄せてみましょう。
見方、観察のしかた、対象物にたいしてのリサーチにこだわりがあるのです。